ワイヤレス製品は全般的に変復調方式や多元接続技術が複雑になっている。その結果,ハードウエアだけで実現できることが減り,ソフトウエアとプロセサを利用するデジタル信号処理への依存度が高くなった。しかし,ワイヤレス製品の電子回路やアンテナは決してなくなるものではない。全体を最適化しながら設計する時代になっているので,どれもおろそかにできない。低コストにするためにも,全体を把握した上でハードウエア,ソフトウエアとプロセサの機能分担の割合をうまく選び設計する必要がある。実は,今こそ全領域を統合した高度な設計技術が求められているのである。 本稿では,電子回路やアンテナの設計/評価の流れを,当社の手順を基に16段階の工程に分けて述べる(図2注3)

図2 設計フローチャート
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注3)あくまでもアンプレットにおける一例を記しており,他社のやり方とは異なるところもある。その点はご了承いただきたい。

†IR方式=非常に短いパルス(インパルス)で信号を送受信する方式。このため設計では,周波数に対する振幅特性が一定で,位相の変化量の周波数微分値(群遅延)の値が小さくなるようにアンテナや回路の周波数特性を考慮しなければならない。

†反射型パッシブRFID=質問器(リーダー/ライター)は,高電力の電波を電池を搭載していない応答器に向けて送出する。応答器は,その電波の一部から自らが動作するための電力を生み出し,その電波の一部を質問器に向けて反射するときに,その反射波に情報を載せて質問器に返信する。