●支持点を入れると,たわみは小さくなる
●固定端を支持点に変更すると,たわみは若干大きめに
前回は,先端に集中荷重Pを受ける長さℓ の片持ち梁を例に,たわみを小さくするための断面形状を考えましたが,今回もテーマはたわみとします。たわみにこだわる第一の理由は,例えばカバーなどの他部品との干渉やクリアランスを考える上で重要だから。そして第二の理由は,この問題が事故原因として非常に多い振動に絡むから。トラブルや事故を防ぐために必要な共振周波数の計算に不可欠なファクターだからです。
本題に入りますが,前回とは視点を変え,たわみを小さくするために支持点を入れます。基となるのは,前回と同様,先端に集中荷重Pを受ける長さℓ の片持ち
ここで,Eは縦弾性係数,Iは断面二次モーメントです。さて,問題。この片持ち梁の先端からaの位置に支持点Bを入れ,そのときの先端Aにおけるたわみ δを計算してください〔図2(a)〕。
考え方は主に2通りあります。第一は,集中荷重Pと支持点Bにおける反力RBそれぞれによるたわみを重ね合わせる方法〔図2(b)〕。この場合,まず反力RBを求める必要がありますが,それは大抵の教科書で紹介されています。ところが,その先のたわみを計算するとなると,そんな教科書はあまりない。ここで練習してください。
第二は,梁をABとBCの二つの要素に分解し,集中荷重Pが作用する片持ち梁ABの先端におけるたわみと,梁BCの支持点Bにおけるたわみ角に応じた先端Aのたわみを重ね合わせる方法です〔図2(c)〕。この場合には,梁BCの支持点Bと固定端Cにそれぞれ生じる曲げモーメントMBとMCを求める必要があります。
本稿では,検算を兼ねて二つの解き方を紹介しますが,実践の場では早く正確に答えを得ることが大事になります。どちらでも構いません,ご自分に合った方法を身に付けてください。