構想設計の次は,具体設計の段階になる。EMCに関しても,より具体的に電気的,構造的な設計を行う。EMCは,“行儀の悪い高周波”を制御する技術である。意図しない電流を流さない(流れることを許さない)設計が重要になる。

 この際,特に電気回路設計の担当者と構造設計の担当者は,各自の守備範囲だけを分担するという考えを持つだけでは不十分である。それぞれの設計に必要な条件を構築しながら,お互いの守備範囲のオーバーラップができていないとEMC性能は達成できない。

 以下に,EMC設計を進めようとしたときに必要になる技術的事項について解説する。ここに述べた基本的事項を怠ると,後工程でEMC対策に追われることになる。いずれも技術的に高度な事項ではないから,理解は容易なはずである。

基本を積み上げて設計する

 ここでは電気回路設計の着手時に必要となるEMCの技術的事項を説明する。グラウンド系の構想が基盤になる。さらに放出部位の想定,プリント基板設計,配線設計において守るべき基本がある。また,部品の選定にも注意が必要である。設計リーダーが方針を定め,そのコントロールの下に分担者が設計開発を進めることが重要である。