Q.瀋陽には長い歴史と文化があります。

 遼寧省の省都である瀋陽には500万人以上が住んでいます。都市圏にまで広げると800万人規模となり、これは東北3省の中で最大です。瀋陽は昔から製造業の拠点と言われてきたので、製造業の文化を持っています。これは(中華人民共和国が誕生した)1949年以前からそうでした。昔から中国における製造業の中心は、「南は上海、北は瀋陽」と言われてきたほどです。

 もう1つの長所は土地が豊富にあるということです。瀋陽からは北、南、東、西の4つの方向に向かって発展していくことができます。同じ遼寧省の大連は半島の南端にあるので、北に行くしかありません。こうした地の利を生かし、ここ瀋陽には加工型製造業、ハイテク産業、農業、自動車製造業、などがバランスよく配置されているのです。しかも土地の値段も安い。瀋陽に比べると、大連の値段は3倍か4倍はします。

 加えて、電力が豊富にあることも瀋陽の魅力の1つでしょう。残念ながら中国では電力不足に悩まされている都市はたくさんありますが、瀋陽の周囲にはいくつか発電所があるので心配は要りません。水資源も豊富です。

Q.瀋陽市は進出する企業に対して、地元政府はどのような優遇政策を提供していますか?

 瀋陽市政府は、日系企業に対して一番力を入れていると自負しています。今年5月、瀋陽市は日本における瀋陽の代表機構の人材を「副局長レベル」から「局長レベル」にまで引き上げました。瀋陽には複数の開発区がありますが、すべての開発区について担当スタッフを日本に常駐させていますので、必要な情報はすぐに提供できる体制になっています。

 最近の3年間で瀋陽に進出した日本企業は、鹿島、積水ハウス、日本精工、東京建物などが上げられます。これだけ大企業が集まっている都市は、中国では珍しいと言えるでしょう。これは市政府側のサポートがそれだけ手厚いことの証拠でもあります。

 一例を申し上げましょう。瀋陽市の渾南新区では新たに調達するエレベーターは原則として東芝製と決まっています。これは東芝の生産工場が瀋陽にあるので、渾南新区のすべての建物で東芝のエレベーターを使用することを最優先にしているためです。大連に進出している日系企業に聞いてみてください。こうした進出企業に対する支援は、私の知っている限り大連より瀋陽の方がずっと手厚いのです。