FPD製造装置事業では、設備投資が続く中国向けのビジネスが急拡大している。これは、熱処理装置や洗浄装置などを中心に扱う台湾の製造装置メーカーも同じだ。FPD製造装置への参入当初は台湾や日本のパネル・メーカー向けのビジネスが中心だったが、最近では中国大陸向けの売上比率が急速に増えている。熱処理装置は主力製品とする台湾C SUN MFG.社でChairmanを務めるMorrison Liang(梁茂生)氏に、FPD製造装置事業の今後の戦略について聞いた。

台湾C SUN MFG.社 ChairmanのMorrison Liang(梁茂生)氏
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――FPD製造装置事業で、中国向けの売り上げが伸びています。

 中国向けの売り上げがFPD製造装置事業の全体に占める比率は、2010年は15~20%程度でしたが、2011年は40%に急増し、2012年は60~65%に達する見込みです。主な顧客は、BOE Technology Group社、China Star Optoelectronics Technology社(CSOT)、Tianma Micro-electronics社などです。2010年の主要顧客はAU Optronics社(AUO)とChimei Innolux社(CMI)でしたが、現在の顧客の中心は中国大陸の液晶パネル・メーカーです。

――以前から中国に拠点を設けていたと聞きます。

 われわれはプリント回路基板向けの装置事業をベースにしています。2005~2006年にFPD向け装置事業に本格参入しましたが、その前から中国大陸に拠点を設けていました。現在は、広州、昆山、東莞の3カ所に拠点を持っています。東莞にオフィスがあり、昆山に営業拠点があります。中国に進出してから10年以上が経ちました。

――中国での事業運営は、台湾とは違いますか。

 中国では、従業員がドンドンやめていってしまいます。そのたびに新人を一から教えないといけません。しかも、やめた従業員が技術をコピーして新しい会社を立ち上げてしまうのです。忠誠心はほとんどありません。ただ、全員がやめるわけではありません。最初に雇った人の中には、幹部になり、現在も社内で働いている人もいます。

 離職対策としては、例えば中国で上場し、配当や株を従業員に与えるという方法があります。ただ、中国で上場することは容易ではありません。4~5年かかることもありますが、われわれは現在、上場の準備をしています。その一方で、当面は正月や8~9月に賞与を与えたり、6~8月に特別な賞金を与えたりしています。