中国四大直轄市の一つである天津市にあって、TEDA(天津経済技術開発区)と双璧をなす国家級開発区にXEDA(天津市西青経済開発区)がある。TEDAが天津市から50キロメートル離れた天津港に隣接するのに対し、XEDAは天津市内にある唯一の開発区という地理的優位性を持つ。これまで工業主体に発展してきたXEDAだが、今後はサービス業や高付加価値のR&D誘致にも力を入れるという。進出企業にも手厚いサービスを提供するXEDAの全容と今後の発展戦略をXEDA管理委員会副主任の張寒冰氏に聞いた。(聞き手は中田靖=アジアビジネス本部)

天津市でトップクラスの経済指標を達成

天津市の開発区としては日本ではTEDA(天津経済技術開発区)が知られています。双璧をなすXEDA(天津市西青経済開発区)はどんな開発区ですか。

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XEDA(天津市西青経済開発区)管理委員会副主任の張寒冰氏

 XEDAは1992年に設立して来年で20周年目を迎える天津市南部にある開発区です。天津市内にある唯一の開発区で、昨年、国家級の開発区に昇格しました。現在は16.88平方キロメートルの敷地に1020社を超える企業が進出しており、投資総額は99億USドル(約300億円)に上ります。天津市の開発区の中で、TEDAと保税区を除いて、すべての開発区の中で経済指標はほとんどトップです。

 産業の柱は、電子情報産業、自動車関連産業、バイオ医薬産業、高級ケア用品産業の4つです。中でも主力となる電子情報産業は、天津市の工業生産額の50%を占めます。XEDAは2004年に国の9つの電子産業基地の一つに最初に認定され、現在は集積回路、電子部品、モバイル通信などの分野で活況を呈しています。パナソニックや古河電工、富士フイルムなどの日系企業も進出しています。

 2番目に大きな産業が自動車関連産業です。トヨタの工場がXEDAにも進出しており、それに伴ってカーエアコン、カーステアリング、ギア鋳造、安全システムなど、多くの部品関連メーカーも進出しています。デンソーやジェタクトなど多くの日系企業がサプライヤーとして参入しています。

 3番目に大きな産業はバイオ医薬産業です。心筋梗塞や脳血管腫瘍、抗菌、抗癌といった薬品を中心に開発が進められており、今では華北地区最大のバイオ医薬産業拠点にまで成長しています。日系企業も武田薬品、田辺製薬、ロート製薬などが進出しています。中国のローカル企業も大手の同仁堂製薬などが拠点を持っています。

 4番目の産業はまだ形成したばかりの高級ケア用品産業です。ただこの分野は成長が著しく、サプライチェーンも構築され、既に華北で一番の生産拠点となっています。米国のP&Gが参入していますが、日系企業ではユニ・チャームやその協力企業の三井化学なども進出しています。

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