「携帯電話機向けLinuxの分野は,これまで核になる企業がなく,ビジネスとしてぽっかり穴が開いていた。ここ数年,ずっと注目していた領域だ」(ACCESS 執行役員 マーケティング本部 本部長の大石清恭氏)。携帯電話機向けブラウザ最大手のACCESSが,ついに携帯電話機全体のソフトウエア・プラットフォーム提供に向けて動き出した。これまでμITRON準拠のOSなども手掛けてはいたものの,基本的にはWWWブラウザの事業を中心に展開していた同社が,2005年9月にLinuxを基にした携帯電話機向けソフトウエア・プラットフォームを手掛ける米PalmSource, Inc.の買収を発表したのだ。

 ACCESSの狙いは,PalmSource社が持つLinux搭載携帯電話機の開発経験にある。PalmSource社はもともと,携帯型情報機器(PDA)のOS「Palm OS」を手掛けていた企業であり,当時は携帯電話機とそれほど関係が深くなかった。しかし,Palm OSのライセンス先が,同じ「Palm」ブランドを掲げる米palmOne,Inc.の競合相手となることなどからライセンシーの数が伸びず,売上高は減少傾向が続いていた。さらに2004年秋には,Palm OSの有力なライセンス先であるソニーが,米国などの海外市場においてPDAの販売を中止するなど,Palm OSの市場は低迷を続けていた。