組み込みソフトウエアの規模が拡大し,その品質向上が喫緊の課題となっている。しかし,その品質を確保するための工学的な検証手法は,あまり実践されているとは言い難い。テストやレビュー,モデル検査などソフトウエアを検証するための手法について,専門家が連載形式で解説する。(進藤 智則=本誌)

渡辺 政彦
キャッツ
取締役副社長

 携帯電話機や自動車のソフトウエアは500万行を超え,近い将来1000万行に達するといわれている。我々はこうした大規模な組み込みソフトウエア開発において,従来のようなソース・コードを中心とした開発では品質,コスト,納期を満たせなくなると考えている。現在のプログラミング言語から,UMLや状態図表モデルといった抽象度の高いモデリング言語へと移行する必要がある。これまで組み込みソフトウエアが,機械語からアセンブリ言語,そしてC言語やC++言語,JAVAなどの高級プログラミング言語へと抽象度を高めることで,大規模化,複雑化に対応してきたのと同じ流れである。