地上デジタル・テレビ放送を受信する車載機では,受信エリアの広さが大きな差異化点になる――。こう考えるカーナビ・メーカーや部品メーカーなどは,移動体における地上デジタル放送の受信エリアの拡大につながる技術開発に余念がない。

 移動体における受信エリアを広げる技術開発の検討項目は,大きく2つある。1つは,HDTV映像を扱う12セグメント放送の受信性能の向上である。ダイバーシチ受信技術の導入や,マルチパス推定の精度を高めるといった取り組みがあり,一部は既に実用化されている。もう1つの取り組みが,移動受信に強い1セグメント放送を組み合わせる手法である。通常は12セグメント放送を表示するが,受信信号が劣化したときには1セグメント放送に切り替える。画質は低下するが,映像が全く映らなくなるブラックアウトを防げる。映像を表示できる受信エリアは当然広がることになる。