「エピソード1/ファントム・メナス」は,大手映画会社が配給する映画として,史上初めてデジタルで上映された。エピソード1がデジタル・シネマ技術になした貢献は,それだけではない。エピソード2,エピソード3で花開く技術が,エピソード1にも「ちょい役」で参加している。

 1つは,デジタル・キャラクターの作成技術。技術の粋を凝らして作り上げたこのキャラクターの扱いをめぐり,米Lucasfilm Ltd.はほろ苦い経験をする。もう1つが,デジタル撮影用のカメラ技術。エピソード1の経験を肥やしに,エピソード2で念願の主役の座を射止めた。

The Curse of Jar Jar Binks

 エピソード1にはコンピュータが創造した,映画史上初のキャラクターが登場した。それ以前にもあった恐竜や怪生物と異なり,自らの意志を持ち,人間の俳優とほとんど対等に対話ができる。それがジャー・ジャー・ビンクス—水陸両生のグンガン族の一員で,ジェダイ騎士団を助けるおどけ者—である。ジャー・ジャーはデジタル特殊効果の賜物であり,エピソード1の舞台裏を彩るハイライトの1つだ。米Industrial Light & Magic(ILM)社の作品で,3年を超える歳月と,延べ600人近い人材を費やした。