LSIの温度が動作保証範囲内に収まっているかどうかを確認する,オンチップの温度センサ素子。その温度センサ素子でチップの温度を正確に測定できないという事態が,いよいよ現実の問題になり始めた。キッカケとなるのは,米Intel Corp.が2006年に予定しているパソコン用マイクロプロセサの65nm世代への移行である。微細化の影響がチップに集積した温度センサ素子に及び,誤差がこれまで以上に大きくなるとみられるからだ。

 こうした温度センサ素子に起因する誤差を抑えることを売り物にした温度センサICを手掛けるメーカーには,パソコン設計者からの問い合わせがこのごろ増えているという。例えば米National Semiconductor Corp.の温度センサICの場合,「65nm世代のノート・パソコン用マイクロプロセサに向けた品種の引き合いが増えている」(ナショナル セミコンダクター ジャパン アナログ・ビジネス本部 データコンバージョンプロダクト担当 課長の安西一朗氏)という。同社は,65nm品に向けた「TruTherm」と呼ぶ誤差の補償機能を備えた温度センサICの量産出荷を2005年末~2006年初頭に予定する。