「イノベーションこそ21世紀において成功を収めるための最も重要な要素である」--。このように宣言し,米国が産業競争力を今後も発展し続けるために必要な数々の施策を提言する1つの報告書がある。その名も「Innovate America」。中国やインドなどの新興勢力が着々と競争力を高めつつある現在,米国にもグローバリゼーションの波は確実に押し寄せている。新しい時代に適応しなければこれまで培った競争力の基盤が揺らぐとの危機意識から,米国の民間組織である競争力評議会(Council on Competitiveness)が政府への提言として2004年12月に公表したものだ。今後の米国の方向性に大きな影響を及ぼす可能性が高いとされるその報告書は,取りまとめ役を務めた米IBM Corp. 会長兼CEO のSamuel J. Palmisano氏の名前を借りて,俗に「パルミサーノ・レポート」とも呼ばれる。