日経ものづくり ITコンサル日記

事実が整理できないなら
感性に訴える工夫が必要

大黒 天馬 Ooguro Tenma
1964年生まれ。愛知県出身。大学卒業後,大手輸送機器メーカーに入社し,主に海外工場の生産システム立ち上げに従事。その後,SCMコンサルタントに転身,現在は大学講師,国内外企業へのITコンサルテーションなど幅広く活動中。


 今号は前々(7月)号の続き,「打算の蜜月関係」のその後である。期待する成果も,現状の問題点も明らかになっていない業務改革の素案に従って,実行責任を求められた課長。結局,重圧に耐え切れずに心身症となり,長期療養の身となった。
 困ったプロジェクト責任者から,我々へ支援依頼が入るのに時間はかからなかった。紆余曲折の後,依頼を受託した我々は,現状把握が先決ということで,関係各所を訪問してみる。ところが,既に業務改革の意識は奇麗さっぱり職場内から消え去っていた。
 結局,成果や問題点を明らかにしなかったツケが回ってきた。こうなれば,やるべき作業は明白。いま一度,業務改革の骨子をまとめ直し,関係者の意識を高揚させ,業務改革の動機付けを与えることである。  まずは,あらためてプロジェクト責任者の考えを聞くことにした。要は,リーダーの業務改革への熱き思いを語ってもらおうという作戦だ。