古田 清人氏
キヤノン グローバル環境推進本部
環境統括・技術センター 副所長

--「環境」が技術開発の現場でも盛んにクローズアップされていますが。

 環境という仕事は,以前は完全に縁の下の力持ちでした。環境問題がこれほど経営に直結するという状況は,想像もしていなかった。環境対応が経営に影響し始めたのは1997年~1998年ころからです。そして,技術開発の現場が環境を意識するようになったのは,2000年ちょっと前くらい。RoHS指令の声が聞こえてきたのがキッカケです。「これって,どうやって対応するの?」と話していたのを覚えています。

 キヤノンは,そのころから環境をチャンスとして意識するようになりました。環境に対する会社の中の「温度」が,かなり変わりましたね。2003年11月に,業界に先駆けてRoHS指令への完全対応を実現した複写機・プリンターの複合機「iR C6800」を発売しました。何が何でもRoHS指令対応の1号機をキヤノンの製品として出したいという,開発から工場まで一体となった強い思いが結集したものです。この技術者の努力には本当に感謝しています。こうしたアピールが,競争力に結び付きますから…。具体的な内容は言えませんが,次のネタもいろいろと仕込んでいます。