日経オートモーティブ 解説

韓国現代自動車が世界の自動車市場で急速に存在感を増している。2005年のグローバル生産は350万台を超えてホンダを抜くとみられている(p.123の別掲記事参照)。また2004年の米国の品質調査で、ホンダと並びトヨタ自動車に次ぐ2位に浮上するなど、品質面での改善も著しい。急成長の理由はどこにあるのか。韓国の自動車業界に詳しい研究者がその背景に迫る。(本誌)

 韓国現代自動車の快進撃が始まったのは2000年に入ってからのこと。その原動力は、価格競争力もさることながら、品質を著しく改善したことが大きい。象徴的なのが、米国の調査会社であるJ.D.Power and Associates社の調査結果。2004年の初期品質調査(IQS:Initial Quality Survey)では、ブランド別のランキングでホンダを上回り、会社別ランキングでもトヨタ自動車に次ぐ2位(ホンダと同点)だった。しかしそんな現代自動車にも、かつて「安かろう、悪かろう」とみられていた時代があった。

品質での失敗を糧に
 実は、現代自動車は過去にも米国で販売台数を伸ばした時期があった。今からちょうど20年前の1985年のことだ(図)。価格が低い上に、ちょうどこのころは貿易摩擦の問題で日本車が輸出規制をしていた時期。手ごろな製品を求める消費者の需要に対して供給が足りないという追い風が吹いた。
 しかしこの時の快進撃は、わずか3年ほどで終わってしまう。原因は品質問題。初期品質では米国で販売する基準をクリアしたものの、経年品質が問題になり、中古車価格が落ち込んでしまったのだ。その後輸出が再び勢いを取り戻すのは、アジア通貨危機を経た1990年代の終わりまで待たなければならなかった。

日経オートモーティブ 解説
図●韓国自動車産業の生産/販売台数
1998年に国内生産は落ち込んだが、その後、急速に増えて350万台近くに増えている。台数は韓国自動車工業協会のデータで、1995年以降はノックダウン生産を除いている。