日経オートモーティブ 技術レポート

クリーンディーゼル乗用車検討会
経産省が普及の可能性探る
消費者の意識改革がカギ

経済産業省がディーゼル乗用車の検討会を設置、普及の可能性をそろりと探り始めた。欧州ではCO2排出量の少なさや性能向上が評価されて乗用車のディーゼル比率が上昇しているが、日本では排ガスが汚い、うるさいという印象が強く、ディーゼル乗用車はほとんどなくなっているのが実情。はたして日本でもディーゼル乗用車は復活するか。

 経済産業省(以下経産省)が設置したのは「クリーンディーゼル乗用車の普及・将来見通しに関する検討会」。2004年9月30日に初会合を開き、検討会の進め方について議論したのち、2004年10月26日と11月16日にそれぞれ第2回、第3回の会合を開催した。なぜ日本ではディーゼル車が売れなくなったのか、最近のディーゼル乗用車の技術進化はどう進んでいるのかなどをテーマに議論した。

ディーゼル乗用車はなぜなくなった
 三菱総合研究所は第2回会合でのプレゼンテーションで、なぜ日本でディーゼル乗用車がほとんどなくなったのかを分析した。同分析によれば、日本におけるディーゼル乗用車は1970年代後半にはオイルショックなどを契機に普及が本格化し、また1980年代後半にはRVブームもあって急速に増加した。しかしその後1996年に507万台あまりでピークを迎え、保有率で10.9%程度になったあと、減少の一途をたどり、2002年には保有率で7%程度にまで落ち込んでいる(図)。
 この原因として三菱総研は、(1)1990年の自動車税改正による排気量2.0L以上のディーゼル乗用車の増税、(2)1993年の軽油取引税の増税(24.3円/L→32.1円/L)、(3)1996年の特定石油製品輸入暫定措置法の廃止によるガソリンの値下がりで1980年代~90年代前半には50円/L程度あったガソリンと軽油の価格差が20円/L程度に縮まったこと、(4)1999年の東京都「ディーゼル車NO作戦」などによりディーゼル車に対するイメージが非常に悪くなったこと——などを挙げた。

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図●日本のディーゼル乗用車の保有台数と保有比率の推移
1990年代後半から急速に減少していることが分かる(三菱総合研究所資料より)。