日経オートモーティブ Key Person

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トヨタ自動車専務

渡邉 浩之氏

略歴■1967年3月九州大学大学院工学研究科修士課程修了、1967年4月トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)入社、1989年2月同社製品企画室主査、1996年6月同社取締役、1999年6月同社常務、2001年6月より現職。


 2004年10月に名古屋で開催されたITS世界会議で、トヨタ自動車は交通事故の死者をゼロにする「0-NIZE(ゼロナイズ)」という目標を掲げた。クルマが持つ負の側面である「環境汚染」「交通事故」のうち、乗用車に限れば排ガスの浄化はかなり進んだ。一方で交通事故件数は増え続けている。トヨタが「交通事故死ゼロ」にどう取り組むのか。ITS・環境担当専務の渡邉浩之氏に聞いた。(聞き手は鶴原吉郎)

◆—2004年10月に開催されたITS世界会議は、一般の人が「ITS」という言葉を知る契機になったようです。
 おかげさまで、ITS世界会議は会議登録者5000人、会場来場者5万人、全国イベント参加者50万人という目標を上回ることができました。一般の方たちに、ITSに対する認知度が上がり、理解が深まったのではないかと感じています。

◆—そのITS世界会議で、トヨタは交通事故死ゼロを目指す「0-NIZE」という目標を掲げました。
 かつて、排ガスの昭和53年規制が導入されたとき、自動車業界では「クルマが売れなくなる」「技術が完成していない」と反対意見が大勢でした。しかし、当時世界で最も厳しかったこの規制を受け入れ、懸命な技術開発の努力をしたことが、その後日本の自動車が世界へ出て行く原動力になったと思います。このときに、クルマの負の側面を解決すると、新しい局面が開けるという体験を日本の自動車メーカーはしました。