新しいTRIZ |
最終回 USITによるやさしいTRIZの実践 |
中川 徹 大阪学院大学 情報学部 教授 |
多数の解決策を引き出す
機能/属性分析とオペレーター
「内容が膨大かつ豊富であるため,習得に時間がかかる」「全体プロセスや全体構造が錯そうしていて分かりにくい」。そのため,実践・定着が大変とされるTRIZ。それをやさしく再構築したのが,前回骨組みを解説してもらったUSIT(統合的構造化発明思考法)。今回は,このUSITに絞り,全体プロセスと実践法を解説してもらう。(本誌)
USITにおける問題解決のための全体プロセスは,大まかには,問題定義/問題分析/解決策生成の3段階で構成される(図)。問題定義の段階で,解くべき問題を明確にし,問題分析の段階では,3種の方法を順次適用して問題の特徴を明らかにする。そして,最後の解決策生成の段階では,前回「USITオペレーター」として説明した多数の小さなオペレーター(5種32サブ解法)を繰り返し作用させる。
USITオペレーターは,発明原理,発明標準解,進化のトレンドといったTRIZのさまざまな原理を整理し直したものである。基本的には,これらを問題システムの要素に対して並列に適用して複数の解決策アイデアを得るが,導いた解決策アイデアに対してさらに適用することで,より発展した解決策のアイデアを得ることもできる。
このようにして得た多数のアイデアに対して,それぞれを深めて解決策コンセプトにする。また,その後に,USITの枠組みを出た段階として,解決策をさらに製品や生産プロセスなどに具体化する過程がある。
図●USITの全体プロセスを示すフローチャート