FTTH3000万世帯で
「通信と放送の融合」が変わる

通信と放送の融合…。映像にかかわる新しいサービスを可能にするものとして,古くから語られてきたキーワードである。その意味合いは2010年ごろに現在とはまるで違うものとなりそうだ。FTTHが本格的に普及するからである。NTTの事業計画は,「2010年にFTTHの3000万世帯普及」を目標とする。これほどの普及を前提にすると,従来の「通信と放送の組み合わせ」ではなく,「通信網を使って放送も通信も提供する」という本格的な融合が実現する。

第1部<インフラ>
FTTHが放送をのみ込み
テレビは通信端末になる

2010年,日本のFTTH契約数が現在の放送受信世帯に迫る。映像コンテンツの保有者や広告主の関心は おのずとFTTH経由の映像配信サービスに向かう。高速の光ファイバが家庭につながると世界中のコンピュータ資源は有機的につながり通信と放送を取り巻く環境はガラリと変わる。グリッド技術を使えば,大掛かりな放送設備すら不要になる可能性がある。既存の事業・地域・時間・情報量の壁はすべて崩れ去ることになる。

第2部<画像>
HDTV放送の次は
「リアリティー」を送り届ける

通信を前提とすれば,放送規格にとらわれない映像サービスが可能になる。新たな取り組みとして浮上しそうなのがHDTVを超える高画質への挑戦だ。ビデオ・カメラやディスプレイは既に放送規格を超えて進化を始めている。太くなる通信路がリアリティーを受け渡す担い手となる。目標は被写体の質感や立体感まで余すことなく届けること。新たな映像文化を築こうと,技術開発が進んでいる。いつの間にか家庭がデジタル・シネマの上映の場になってもおかしくない。