キヤノンと東芝が開発を進めるSED(surface-conduction electron-emitter display)パネルの低コスト製造技術の一端が,いよいよ明らかになった。両社の合弁会社「SED」は,2005年5月22日~27日に米国ボストンで開催されたディスプレイ関連の学会/展示会「SID 2005」で,SEDパネルの電子放出源の製造方法を発表し,コスト競争力の高さを主張した。同年8月のパネル量産開始が間近となり,2007年1月からの本格量産の工場が東芝の姫路工場(兵庫県)に決まるなど市場投入へのカウントダウンが始まる中,ひときわ高い関心が集まった。

 SID 2005では,既に薄型テレビ市場で着々と規模を拡大している液晶パネルに関しても,新たな技術の発表がめじろ押しだった。コントラスト比,消費電力,動画視認性,階調特性などの性能向上に向けたさまざまなアプローチが示されたのである。「画質に定評を持つSEDパネルの登場が間近に迫ってきたことによって,開発競争のハードルが確実に高まっている」(ある液晶パネル・メーカーの技術者)。液晶パネルが得意とする色再現範囲の向上や,周辺部品の集積化についても,その特徴を追求する技術が相次いだ。

 このほかには,40インチ型有機ELパネルや,曲がるディスプレイといった次世代技術にも注目が集まった。