第13回 平成の飾り職人 |
「開発の鉄人」こと 多喜 義彦 |
板をたたいてへこませていく,
あるいは張り出させていく加工。
昔から飾り職人がやっていた作業だ。
これをCAMとNCで現在によみがえらせた男がいる。
金型なし,治具なしで,どんな形にでも作れる。
新種のラピッド・プロトタイピングといえば,
それまでだが,「3次元プリンタ」と考えれば,
いろいろな使い道が見えてくる。
金沢大学が「ビジネスクリエイト工房」というイベントを定期的に開いている。そこに私も講師として出掛けていくんだけど,2005年の3月にやった時に面白いものを見せてもらった。アルミニウム合金の板をたたいて加工する技術だ。NCデータを入れるだけで「カタカタカタカタ」って,たちまち製品ができちゃう(図)。
研究している金沢大学工学部助教授の浅川直紀先生は,恐る恐る発表したようなんだけどね。今まであまり反響がなかったらしい。
でも,私は感動してひっくり返っちゃった。先生の意図とはちょっと違うかもしれないんだけど,これは「3次元プリンタだ」と思ったよ。「3次元スキャナ」としては簡単な3次元測定器があるから,両者を組み合わせれば「物質電送機」に近いものができる。
図●金沢大学が研究しているバッティングセンタ
バットもボールもない。