筐体の小型化が要求される機器では,限られた空間にプリント配線基板を配置する必要がある。このため現在は,リジッド基板を分割し,その間をフレキシブル基板で接続する,いわゆる「リジッド・フレキ基板」が広く使われている。しかし高価な材料であるポリイミドを使うことや,製造工数が余計に掛かることなどが問題となっていた。

 こうした課題を解決する手段として日立化成工業は,多層プリント配線基板材料「Cute」を開発した。ポリイミドを使わず,リジッド基板と同様の方法で製造が可能ながら,フレキシブル基板のように折り曲げられる。弾性率が低く柔軟なエポキシ樹脂をガラス・クロスに含浸させ,同じ樹脂を層間接着用途を兼ねるフィルムに用いた。4層時の厚さは200μm以下だ。

 今回の基板は逆転の発想から生まれた。