自社のマイクロプロセサを宣伝する格好のツールと見なされていたベンチマーク・テストだが,公正・中立な立場の第三者が開発したものが1980年代以降,機器設計者の間に普及し始めた。それとともに,ベンチマークの対象もDSPやプロセサ・コアなど多様なチップに広がっていった。(本誌)

Steve Leibson
米Tensilica, Inc.

 電子産業向けの業界誌である米EDNは,電子機器設計におけるマイクロプロセサの採用を早く主張しており,1970年代前半には登場したばかりのマイクロプロセサについて幅広く取り上げていた。商用の16ビット・マイクロプロセサの第1陣が登場した直後の1981年に,EDNはマイクロプロセサに関する最初の包括的な記事を掲載した。その記事では,4種類の主要な16ビット・マイクロプロセサを比較するために,1セットのベンチマークを用いた。ここで比較した4種のマイクロプロセサは米Digital Equipment Corp.(DEC)の「LSI-11/23」,米Intel Corp.の「8086」,米Motorola, Inc.の「68000」,米Zilog, Inc.の「Z8000」である。