急速な充電,従来の10倍といった高出力,わずか5gと小型化…。これまでの常識を覆すLiイオン2次電池が続々と登場してきた。

 Liイオン2次電池はこれまで,長い充電時間や,短い充放電サイクルなどを我慢して使わざるを得なかった面があった。最大の市場である携帯電話機をターゲットに,電極材料はそのままにして,電池メーカーはひたすら電気特性は維持しながら,エネルギー密度の向上を図ってきたからだ。

 この状況が大きく変わる。「売り上げ個数は増えても売上高は上がらない」(電池メーカー)というように,携帯電話機市場に陰りが見え始め,激しい価格競争にさらされているからである。このため,日本の電池メーカーは,携帯電話機に特化していた事業戦略の見直しを進めている。新しい用途の開拓に向けて,電極構造や材料を刷新した電池を続々と投入してきた。

 その結果,Liイオン2次電池の性能が一新し,多様化し始めた。電気2重層キャパシタやNi-Cd2次電池,Ni水素2次電池とのすみ分けが崩れ,従来にはない機能を備える2次電池が登場してきた。その代表例が,東芝が2005年3月29日に発表した新型Liイオン2次電池である。