トウモロコシやサトウキビといった植物から作られる樹脂。「植物性樹脂」と呼ばれるこうした材料が,エレクトロニクス・メーカーの間で脚光を浴び始めた。電子機器の内部に使う部品や筐体への利用がじわりじわりと広がっている。

 これまでも例えばソニーが音楽プレーヤの筐体に,富士通がノート・パソコンの赤外線ポートの部品に採用してきたが,ここ最近,その適用範囲が一段と広がっている。2004年9月にはNECが,メモリ・カードを使わないときにノート・パソコンのスロットに挿入しておく「ダミー・カード」の材料として植物性樹脂を採用した。同年10月にはソニーが世界で初めて難燃性の規格「UL94 V-2」に対応した植物性樹脂を開発し,DVDプレーヤのフロントパネルに採用した。UL94 V-2よりさらに厳しい難燃性規格である「UL94 V-0」に対応した植物性樹脂も登場した。2005年1月に富士通がノート・パソコン「FMV-BIBLO NB80K」の筐体に採用した。

 エレクトロニクス・メーカーの間に広まる植物性樹脂に対する意識の高まりに,樹脂メーカーも応え始めた。東レやユニチカ,三菱樹脂といった大手が,電子機器向けの植物性樹脂の開発を目的に,エレクトロニクス・メーカーとの連携に乗りだした。植物性樹脂を電子機器の部品として広く利用するために必要となる耐衝撃性や耐熱性,難燃性などの向上を目指す。