携帯機器向け燃料電池の燃料はメタノールで決まり--。こうした世の中の流れに異を唱える技術者が徐々にではあるが増えつつある。彼らがメタノールに対抗して推すのは水素ガスだ。

 2004年11月にキヤノンがデジタル・カメラなどに向けて水素ガスを使う燃料電池の開発状況を明らかにしたのに続き,NTTが2005年2月24日~25日に「NTT R&Dフォーラム2005」で水素ガスを用いる固体高分子型燃料電池(PEFC)を装着した携帯電話機を公開した。「数年前に研究を始めるに当たって主流のメタノールと迷ったが,出力密度の高さから水素ガスを燃料に選んだ。携帯機器に搭載するには水素ガスしかない」(同社 環境エネルギー研究所 エネルギーシステムプロジェクト エネルギー蓄積変換システムグループの秋山一也氏)。出力密度のほかにも,メタノール式がCO2を排出するのに対して,水素ガス式ではH2Oしか排出しない環境負荷の少なさも利点の1つという。