「実現できれば確かにすごい」(国内研究機関のMRAM技術者),「すぐさま米IBM Corp.を訪問して直接確かめてみようと思う」(国内大手メモリ・メーカーの技術者 )--。

 IBM社が2005年2月に披露した,磁性材料を用いた新概念の不揮発性メモリ「 Magnetic Race-Track Memory」が大きな話題を呼んでいる。もくろみ通りに 製品化できればコンピュータやデジタル民生機器のメモリ・アーキテクチャを一新す る可能性を秘める。その根拠は潜在能力の高さにある。DRAM並みの性能を保ちながら ,製造コストをハード・ディスク装置(HDD)と同等にできるという。ランダム・ア クセスが可能で書き換え回数は無制限。機構系を備えないため,既存の半導体メモリ と同等の堅牢性を期待できる。