特報
H-II Aロケット,再び

国産ロケット復活への序章

2005年2月24日,「H-II Aロケット」の打ち上げが再開される。
6号機の打ち上げ失敗から約15カ月。
事故原因の究明と対策,信頼性の確保に向け,
多大な労力が費やされてきた。
不具合を発生した固体ロケットブースタだけはない。
ロケット全体について再点検し,
対処した課題は実に77件にのぼる。

「H2A打ち上げ失敗,補助ロケット分離できず」「専門家『初歩的なミス』,問われる製造・点検体制」
 連続5回の打ち上げに成功していたH-II Aロケットの,まさかの打ち上げ失敗だった。
 6号機の打ち上げ失敗から約15カ月後の2005年2月24日,いよいよH-II Aロケットの打ち上げが再開される(p.85の別掲記事参照)。H-II Aロケット7号機の打ち上げが成功するか否か。その日は,国産ロケットの存続を決める大きな分岐点となる。
 7号機の信頼性は十分に確保できたのか。6号機の打ち上げ失敗の原因の究明と対策だけでなく,ロケット全体の信頼性確保に向けてどのような取り組みが行われたのか—。まさに「背水の陣」となった今回の打ち上げ再開までの15カ月間の足跡を検証する。

分離しなかったSRB-A
 H-II Aロケット6号機は2003年11月29日13時33分,鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた(図1)。異変が起こったのは,打ち上げから1分45秒後のことだ。
 燃焼を終了した固体ロケットブースタ「SRB-A」2機のうち一方の分離に失敗したのだ(図2)。SRB-Aとは固体燃料を使ったロケットで,1段機体の両脇に固定されている。打ち上げ初期の加速を得るため,1段エンジンとともに燃焼するものだ。