詳報
直動軸受のキャリッジをワイヤで引っ張る新駆動方式を開発

ボールねじ,歯付きベルト,リニアモータに次ぐ第4の選択肢

 SKマシナリー(本社横浜市)は,直動軸受のキャリッジをワイヤで引っ張る「ワイヤ ドライブ システム」を開発,「ベンチャーフェアJAPAN2005」(2005年1月26~27日,東京国際フォーラム)に展示した。半導体,液晶,プリント配線基板を搬送する用途のようにストロークが長く,高速が要求され,しかも負荷が小さめの用途に向く。
 モータでドラムを回し,ドラムに巻き付けたワイヤを引っ張る。ローラを使ってワイヤが直動案内と平行になるように張る。直動軸受のキャリッジとワイヤを“ケーブルカー”のように結合しておく(図1)。モータを回すとキャリッジが動く。
 ワイヤはステンレス鋼の素線を撚り合わせ,ナイロンで被覆したもの。金属粉を出すことがなく,清浄度を要求する現場でも使える。ワイヤには駆動に使う張力の3倍以上のプリロードを与えておくため,大きくたるむことはない。プリロードはローラを支持する機構のばね張力で調整する。ワイヤ直径は0.45~4.0mm,負荷は32~980N。
 制御は基本的にモータの回転角で位置を指令するオープンループ。キャリッジが原点を通過したことを検知するスイッチを持ち,ワイヤの伸びを補正する。繰り返し位置決め精度は±0.05mm。ボールねじの±0.01mmには及ばないが,タイミングベルトの±0.1mmをしのぐ*。速度は1500mm/秒と,ボールねじ(800mm/秒)以上でタイミングベルト並み。
 ステップモータとドラムは,回転力は伝えるがドラムが軸方向には移動できるように結合する。ドラムにねじを切っておき,回転するに従って軸方向に移動するようにしてある(図2)。ワイヤは“ねじ溝”のようにきれいに並び,ドラム上で2重になることもない。ワイヤの端部はドラムにピン,またはほかの方法で固定してあり,ドラムとワイヤの摩擦力には頼らない。