機器に搭載するASICの実現手段として「マスタ・スライスLSI」が2005年~2006年にかけて大きく飛躍しそうだ。これまでは,出荷台数が数千台~数万台と少ない機器に使うことが多かった。今後はデジタル家電製品など,数十万台~100万台以上を出荷する機器に組み込むASICに適用する例が増えそうだ。こうした機器に通常用いるセルベースLSIの有力な対抗馬になるだろう。

 マスタ・スライスLSIが活躍の場を広げるのは,チップ1個当たりの価格が大幅に下がるからである。ここにきてマスタ・スライスLSIのメーカーが,一斉にチップ単価を下げる方向に動き出した。マスタ・スライスLSIはセルベースLSIよりも開発費が安く,開発期間も短くできるが,チップ単価がケタ違いに高いことが普通だった。この常識が大きく変わろうとしている。