現代ものづくり考
サイクロン式掃除機

「お手入れ簡単」「高吸じん力」「クリーン排気」が競争の軸へ

 サイクロン式掃除機が堅調だ。
 2001年には30万台弱だった国内市場規模は2003年には200万台に達した。2004年も同規模で推移し安定期に入った感がある。年間560万台前後の電気掃除機市場の1/3以上を占めるに至ったわけだが,サイクロン式掃除機の価格帯が高額であることを考えれば,今後も市場をけん引するキードライバーとして期待される。
 サイクロンとは竜巻の意味だが,その名の通り吸い込んだゴミをケースの中で空気の渦によって遠心分離するのが特徴だ。分離した空気だけをフィルタにかけるため排気がきれい,紙パックが不要というのが大きなメリットだ。タカムラ家でも2年ほど前,子どもが誕生してこのサイクロン方式に買い替えたが,排気で子ども部屋の空気が汚れないというのはアレルギーなどを心配する親に何より安心感を与えてくれる。また「ゴミがいっぱいになったけど,紙パックがない!」とカミさんに言われ,電気店などに使い走りにやらされずに済むというのもカカア天下の尻に敷かれたダンナにとっては大きなメリットだ。
 いいことずくめに聞こえるサイクロン式掃除機だが,難点もある。

高村 敦
1987年一橋大学卒業後,電通入社。営業,企画部門,電通総研などを経て現職。スポーツ文化学,笑いの考現学,ブームの心理学など幅広く研究する。