大容量伝送の潜在能力を秘めながら,依然として一部の業務用途でしか使われていない60GHz帯。村田製作所は現状に一石を投じるべく,その伝搬特性を徹底的に評価し,最適な使い方や用途を今回提案する。サービス・エリアは20m四方のピコセルで構築するのが最適だという。(堀切 近史=本誌)

 60GHz帯の無線周波数は,2.4GHz帯や5GHz帯と同じく,免許不要の無線通信が行えるISM帯域(industrial scientific medical band)として開放されている。1Gビット/秒クラスの高速無線通信を実現できるとして,技術開発が進んでいる。

 その波長からミリ波とも呼ばれる60GHz帯の伝搬特性を,今回さまざまな方法で定量的に評価した。シミュレーション技術を用いて回折や筐体輻射の様子を可視化したり,幾つかの試料における電磁波の減衰量や反射係数を電波暗室で測定したりするなどした。

 定量的に評価した狙いは,その伝搬特性に適した60GHz帯の使い方や用途を提案するとともに,60GHz帯を使う無線システムの回線設計に役立てることにある。