ソニー 鶴島 克明 氏 業務執行役員専務 |
——この1年,デジタル家電の市場は拡大しました。各社が業績を伸ばす中で,ソニーは出遅れた様相がありますが。
先の技術を追いかけるあまり,今の主力商品に向けた研究開発が,ややおろそかになってしまった感がありました。例えば映像分野の市場を見渡すと,現在の事業はSD(standard definition)の領域が主力となっている。しかしこれまでの研究開発はハイビジョン映像,いわゆるHD(high definition)の映像技術に偏りすぎていたかもしれません。これを反省し,2004年はその状況を解消する手はずを整えました。今の市場でしっかり競争力を発揮できるよう,バランスを取った。その結果が,いよいよ実りつつあります。2005年は強い商品が生まれてきますよ。
次なる事業の柱を生み出すという点で,2004年は研究開発が非常に充実した年でした。HDの映像コンテンツに関する一連のチェーンを構築することができたからです。つまりコンテンツ制作から放送・上映,視聴,録画,蓄積,撮影などを担う一連の機器を,HD画質へと進化させたのです。
HDの映像コンテンツを個人で自由に扱えたら,これはもう本当に感動しますよ。つまりHDの映像技術は,決してプロフェッショナル領域のものとはとらえていません。ソニーはHDの世界を,家庭や個人の領域にまで浸透させる先導役になる。
それを実現するための具体的な商品や電子部品が続々と生まれました。一例ですがHDビデオ・カメラや,Blu-ray Disc録画機の普及を支える光ヘッド用モジュールなどがあります。こうした成果を武器に,今後はHDの世界を家庭や個人の領域へグングンと広げていきたい。
2005年の研究開発テーマ