「2004年のLiイオン2次電池市場の伸びは,当初の予想を大きく下回る」——。Liイオン2次電池の出荷セル数の伸びが鈍化してきた。ソニーによれば「2004年の業界全体の出荷セル数を,当初の13億2000万セルから12億2100万セルに下方修正した」(同社 業務執行役員 上席常務の中川裕氏)という。当初は2003年に比べて約17%伸びると予想していたが,最大の用途である携帯電話機の販売が振るわなかったことなどから,実際には約8%しか伸びそうもない。

 この状況にLiイオン2次電池メーカーは危機感を募らせている。各社とも市場の大幅な拡大を見込んで生産能力を増強しているからだ。例えば,Liイオン2次電池の生産量首位の三洋電機は,2004年当初で月間4500万セルだった生産体制を同年度内に5800万セルまで引き上げる。生産量2位のソニーも2003年の月間2900万セルから2004年度末までに同4300万セルに拡大するという。このほか,多くのLiイオン2次電池メーカーが生産量をそれぞれ30%以上増強するとしており,このままでは供給過剰に陥ってしまう。