シェアは今でも100%

 例えばアイドリングストップシステムのためのベルト駆動のオルタネータ/モータ。生産しているのは世界でもフランスValeo社1社だけ(図1)。シェア100%。最初に採用されてから9年たつのだが、他社の実績は今でもゼロである。

 日本車では日産自動車が最初に「セレナ」「同ハイブリッドS」に採用した(図2)。富士重工業が「XV HYBRID」で追った。

 同部品は、通常のオルタネータに回転センサとドライバ回路を付け加え、同期モータとしても働くようにしたもの(図3)。今までのアイドリングストップシステムがスタータモータとオルタネータを別々に持っていたのに対し、これ1個で済む。

 スタータモータがラインアップにあるメーカーならどこでも造れそうに見える製品だ。制御回路の構成にいくつか特許があるが、基本構成では特許を取っていないという。Valeo社が有利だったことといえば、スタータとオルタネータの両方を生産しており、どちらの要求もよく分かっていたことだけだろう。

 これでは誰も追って来ないことが不思議になってくる。これほどの差を築けたのはなぜか。

以下、『日経Automotive Technology』2014年1月号に掲載
図1 フランスValeo社のオルタネータ/モータ
図1 フランスValeo社のオルタネータ/モータ
ベルトを介してエンジンを始動する。
図2 日産自動車の「セレナ ハイブリッドS」
図2 日産自動車の「セレナ ハイブリッドS」
ハイブリッドでない「セレナ」と合わせると、販売台数でトヨタ自動車の「カローラ」と争うヒット商品だ。
図3 オルタネータ/モータを後ろ側から見る」
図3 オルタネータ/モータを後ろ側から見る
初期には別部品だった回路を内蔵した。