企業内標準を活用して開発の効率化やコスト削減を目指す大手自動車メーカーに対し、小規模の自動車メーカーはどのような戦略を採るべきか。ニッチ市場に特化して最適化する戦略と、オープン標準を活用する戦略の二つを紹介する。

 モジュラーアーキテクチャを「企業内標準」を利用して実現する目的は、標準部品の適用範囲を拡大し、多様な派生車種を効率的かつ低コストに開発することである。ただし、その効果は、製品分野や市場、そして自動車メーカーの事業規模によって異なる。 

 クルマの市場特性は、その製品が量販であるか、ニッチであるか、また販売する地域がグローバルか、ローカルかにより、四つに分類できる(図1)。このうち、企業内標準を使って“規模の経済性”を最も得やすいのは、左上の“グローバル”かつ“量販”の車種である。 

 代表例が、ドイツVolkswagen社が導入する「MQB(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)」と呼ぶモジュラーアークテクチャの対象車種。同社は製品原価の20%削減を狙う(図2)。MQBがカバーする製品の販売台数は、2017年までには400万台を超えるとされ、規模の効率性が生きてくる。 

以下、『日経Automotive Technology』2013年11月号に掲載
図1 地域、製品特性に応じた最適な「標準」の活用法
同社のエネルギ関連サービス「楽天ソーラー」を通じてニチコン製の充放電設備を取り扱う。写真は楽天のWebサイト。 出典:A.T. カーニー
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図2 モジュラーアーキテクチャにおける期待効果
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