日本の鋳造業、ひいては鋳物部品を使うメーカーの競争力を高めるため、国産3Dプリンタの開発が始まる。経済産業省が2013年5月29日、「超精密三次元造形システム技術開発プロジェクト」の委託先(採択事業者)を決定した*1。産業技術総合研究所(以下、産総研)が中心となり、中量生産品に適用可能な砂型用3Dプリンタの開発プロジェクトが立ち上がった(図1)。5年後をメドに、生産性(造形速度)を現状の10倍に高める一方、中小企業でも購入できるよう数千万円で購入可能な低価格機の開発も目指す。

鋳造用砂型を積層造形

 今回のプロジェクトで開発するのは、粉末材料(砂)を1層ずつバインダで固め、積層していく方式の3Dプリンタだ。「例えば、月産3000台規模の高級車用のシリンダヘッドの砂型を生産できる装置を目指す」(産総研先進製造プロセス研究部門基礎的加工研究グループグループ長の岡根利光氏)。具体的には、体積が100L(100×100×10cm)の砂型を1時間程度で造形できる速度が目標となる。

 
〔以下、日経ものづくり2013年7月号に掲載〕

図1●砂型用3Dプリンタの開発プロジェクトの参加企業
図1●砂型用3Dプリンタの開発プロジェクトの参加企業
3Dプリンタの装置や材料を開発するメーカーだけでなく、砂型を作製し、鋳造するメーカーや鋳物を使うメーカーもプロジェクトに参加する。

*1 2013年4月10日~5月10日の期間で公募した。