雑誌 2013年7月号 Tech Report

「SIM-CEL」の要素技術

ハイドロ鋼管を束ねて使う ヘッドランプ、モータにも新技術

2013/05/15 11:49
 

電気自動車(EV)開発会社のSIMDriveは、2012年2月から取り組んできた先行開発車事業第3号の「SIM-CEL(以下CEL)」が完成したと発表した(図1)。昨年の「SIM-WIL(以下WIL)」より高性能を狙い、0→100km/h加速時間は4.2秒と、1.2秒短くなった。そのために2人乗りとし、モータの最大トルクを700N・mから850 N・mに上げた。

 先行開発に参画している三五、スタンレー電気、日本スピンドル製造などのメーカーがそれぞれの技術を磨き、SIM-Driveに協力した。

 三五はハイドロフォームで成形した鋼管をCEL用に納めた。上部構造はWILと同じくハイドロフォーム材。今回はピラーとルーフレールと一体にした。Aピラー部はSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)のようにピラーが2本立ち、その間が三角窓になっている。三角窓を挟む前後両方のピラーのうち、前側にあるAピラーと、ドア開口部前端の1辺に相当するドアピラーは2本ともハイドロフォーム材。Aピラーは980MPa級、ドアピラーは590MPa級だ。

 Aピラーは車体の前に向かい、ドアピラーは下へ向かって鋼板製の床構造につながる(図2)。2本はドアの上で合流し、2本を束ねた状態のままルーフレールとなって車体の後ろまで伸びる。このため2本の間には“のりしろ”状に平らな場所がある(図3)。2本を、接着剤とアーク溶接を併用して接合した。

 前面衝突したとき、フロント・サイド・フレームから入ってくる通常の衝撃はドアピラーが受ける。25 %オフセット衝突で入ってくる衝撃はAピラーが受ける。ともに、衝撃を受けた部材が力を後ろまで伝える。通常の造り方では三つ又に分岐する場所があり、その接合部が弱点になるが、新しい造り方では接合部そのものがない。

 素材は直径65mm、厚さ1.6mmの鋼管。ドアピラーの拡管率は12 %。Aピラーの拡管率はもっと小さい。

以下、『日経Automotive Technology』2013年7月号に掲載
図1 「SIM-CEL」
図1 「SIM-CEL」
SUVのようにピラーが2本ある。
図2 SIM-CELの骨格
図2 SIM-CELの骨格
これは車体の左前から見た状態。緑色の部材がハ イドロフォーム品だ。
図3 2本のハイドロフォーム材を重ねた部分の断面図
図3 2本のハイドロフォーム材を重ねた部分の断面図
図2のA-A断面に相当する。合わせ面が平らになっている。

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