利益から考える現場活動

 「損益分岐点を下げることを考えるなら、変動費は削減率に、固定費は削減額に着目してください」。知っているようで知らないこうした財務諸表の読み方の解説に、なるほどといった様子でうなずいている受講者が会場のあちこちで見られた。

 本セミナーのテーマは「経営管理」。損益計算書の見方などを説明しながら、利益率を高めるにはどうすればよいかを解説するものだ。日経ものづくりとしては少々異色のテーマだったが、受講者からは「大変分かりやすかった」「非常に参考になった」との声が多く聞かれた。グローバル化が進む中、技術者といえども海外赴任で経営に携わらざるを得なくなるケースが増えているのは本当のようだ。実際、赴任先の新興国からの一時帰国中という受講者が、講師に熱心に質問していた。

 講師の高橋功吉氏は、大手電機メーカー在籍中に東南アジア某国の現地法人トップとして経営に携わった経歴の持ち主。その後コンサルタントとして多くの企業の改革を支援してきた。在庫削減や5Sといった製造現場の活動がなぜ必要なのか、それがどう利益に結びつくのかを、財務諸表という視点から説明する高橋氏の解説に、現場活動の意義について再認識した受講者も多かったようだ。