オーハシテクニカは、「圧入プロジェクション接合法」を開発した。既にエンジン部品、変速機部品などで多くの実績がある。圧入しながら電気を流して接合するのが特徴。電気抵抗による発熱を使うが、温度は融点より低く、溶接ではない。疲労強さ、寸法精度が高い。

 歯車、スプロケット、軸受の内輪、カム、フライホイール…何かを取り付けてこそ、軸は機能する。したがって、自動車では極めて多くの部品が「軸と板を組み合わせた」形をしている。
加工技術、接合技術が未熟な頃、軸と板を組み合わせるには、キーを使うことが普通だった。キー溝を掘り、キーを打ち込んで固定する。仕上げ加工をする面は多く、応力集中が怖いし、伝達トルクは小さい。できれば避けたい工法であった。
 現在のように加工技術が発達し、コストを下げる要求が厳しくなると、それ以外の製法を模索するようになった。接合では電子ビーム溶接やプラズマアーク溶接が考えられるが、どちらも設備の初期投資額が大きく、溶接棒などの消耗品が高価で、あまり使いたくない加工法である。
 固相拡散接合は精度が高く、後加工なしで済むので有力な候補に見える。しかし、固相拡散接合を成立させるために真空に引くと、大げさな設備と大げさな工程が必要になる。真空に引くには時間がかかる上にバッチ処理になり、1個流しができなくなる。航空機業界ならともかく、コストに厳しい自動車の世界ではとても許されない。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載