世界の自動車市場は新興国が牽引してきた。しかし、その代表格である中国との関係がぎくしゃくし、日系メーカーに関する限り先行きが不透明になってきた。そこで重要性を増しているのがASEAN(東南アジア諸国連合)である。現地でのコンサルティング経験が長いデロイト トーマツ コンサルティングの川島佑介氏にASEANでの自動車販売、生産でやるべきことを聞いた。(聞き手は浜田基彦)

デロイトトーマツコンサルティング 自動車セクター マネジャー 川島佑介氏
デロイトトーマツコンサルティング 自動車セクター マネジャー 川島佑介氏

 実は、ASEANでは日本は既に“勝ち組”である。100万台市場のタイ、インドネシアで、日系ブランドは90%以上のシェアがあり、ASEAN全体でも65%を超える。米国、ドイツのメーカーが強い中国や、韓国メーカーに攻め込まれている米国に比べ、有利な立場にある。
 ASEANの人口はEUとほぼ同じ規模だ。市場規模はここ10年で2倍を超え、今後も拡大が見込める。米国、中国に並ぶ収益の柱であり、日本として大切にしていくべき地域だ。
 現在の税制や物流コストを考えると、当然クルマは“売る場所で造る”ことが望ましい。ASEANでの販売の比重が高ければ、生産の比重も高くなる。生産のインフラ整備も進み、投資しやすい環境が整ってきている。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載