ダイハツ工業は、軽乗用車「ムーヴ」「同カスタム」を改良し、2012年12月20日に発売した(図1)。原価にして約6%に相当する部品に手を入れるという、マイナーチェンジとしては大幅な改良をした。同社は“ビッグマイナーチェンジ”と呼ぶ。

 シートフレームの骨格を、シート高が違うために専用設計したブラケット2部品を除いて「ミラ イース」と共用化するなどの工夫でコストを下げた。新規の部品メーカーが8社ある中、4社が中国をはじめとする海外メーカーだ。最も安い車種の価格は107万円とした。改良前より5万円安い。
 JC08モードでの燃費は29.0km/L。これは競合するスズキ「ワゴンR」の28.8km/Lを0.2km/L上回る。燃費の数字は0.2km/L刻みであるため、最小の差で同車を超えたことになる。ワゴンRがLiイオン2次電池を使った簡易ハイブリッドシステムを使うのに対し、ムーヴはあまり原価の増えない改良を積み重ねた。

以下、『日経Automotive Technology』2013年3月号に掲載
図1 ダイハツ工業の「ムーヴ」
図1 ダイハツ工業の「ムーヴ」
衝突回避支援システムは5万円、値下げ幅も5万円。支援システムを取り付けても価格は事実上据え置きになる。