日本の工場に比べて離職率の高い中国やASEAN諸国などの海外工場では一般に、カイゼン活動によって自発的に生産性や品質を向上させる土壌、いわゆる「カイゼンマインド」が育ちにくいといわれる。しかし、その一方で、高いカイゼン成果を上げる海外工場があるのも事実だ。その差は一体、どこから生まれるのか。

 日本能率協会は2012年10月下旬、優れた生産革新活動に取り組む日本/アジアの工場を表彰する「GOOD FACTORY賞」の受賞記念発表会を都内の会場で開催した。同賞を受賞したのは、東レと富士通の各2工場、トヨタ紡織、日産自動車、パナソニックの各1工場の計7工場。発表会では各工場の管理者が、それぞれの活動の詳細を披露した。

 その発表内容から見えてきたのは、海外工場でカイゼンマインドを育てる3つのコツだ。すなわち、[1]短時間で人を育てる仕組みを作る、[2]確実に成果につなげる管理体制を作る、[3]誰にでも分かりやすい目標を設定する、である。

 受賞した海外5工場のうち代表的な例として、パナソニックの中国生産拠点である広州松下空調器公司と、トヨタ紡織のタイ生産拠点であるToyota Boshoku Gateway社の事例を取り上げながら、3つのコツを見ていく。

〔以下、日経ものづくり2012年12月号に掲載〕