在るべき姿を見直す機会に

 これまで編集部は、日野三十四氏を講師として「モジュラーデザイン」のセミナーを何度か開催してきた。そこから派生したのが今回のテーマである「設計手順書」だ。設計手順書は、文字通り設計の手順を文書化したもので、ベテラン設計者がそれぞれ持つ暗黙知を形式知化してモジュラーデザインを実現しやすくするのが主な狙いである。

 従来のセミナーでは、設計手順書は幾つかあるポイントの1つという位置付けだった。しかし、設計手順書の効用は、モジュラーデザインの実現にとどまらず、新人の即戦力化、技術伝承、技術力の強化、製品開発期間の短縮、設計の自動化と多岐にわたる。そ の全貌を余すところなく伝えたいと設計手順書だけに絞ったセミナーを新たに企画したところ、多数の申し込みがあり、急遽追加開催することになった。

 設計の手順を文書化しようとすると、実は「理想的な設計とは何か」という問題に直面する。そのため、参加者からは「設計の在るべき姿を見直してみようと思う」「当然やっておくべきことだったが、今まではできていなかった」といった感想が多数寄せられた。