見直しの余地はまだある

 厳しいコストダウンが求められる今、技術者といえども購買業務と無縁ではないが、まだ縁遠い感があるのも事実。受講者にどれだけ興味を持ってもらえるか編集部としては不安もあった。

 ところが蓋を開けてみると、受講者は購買担当者から開発現場の技術者まで幅広く、休憩時間などに講師に質問する受講者が後を絶たなかった。要求仕様を満たしたものをいかに適正な価格で買うか。この一見当たり前の業務に頭を悩ませている現場が多いことを実感させる光景だった。

 講師の多田夏代氏は、防衛省の購買部門で「ミサイルや爆弾をいくらで購入するかを研究していた」(同氏)という異色の経歴の持ち主。購買部門での実務とその後のコンサルティングの経験に基づいたコスト分析の手法やコストダウンの交渉術、価格評価のための公知資料の使い方など、論理的かつ実践的な解説に多くの受講者が熱心に耳を傾けていた。

 同氏が力説していたのは、買い方をしっかりと見つめ直せばまだまだコストダウンの余地があるということ。終了後は多くの受講者が講師と名刺交換しながら、自社の悩みを相談していた。購買の重要性と可能性を再認識するよい機会になったようだ。