ドイツWEBO社が開発し、日本ではアイダエンジニアリングが取り扱うローラ金型は、変速機の中にある油圧多板クラッチのディスクキャリアを造る装置。金型の中でローラが回りながらワークを加工する。トランスファプレス機だけで製品ができるため、量産品の加工に向いている。

 ドイツWEBO社の金型で造るのはディスクキャリアと呼ばれる部品(図)。AT(自動変速機)や一部のDCT(Double Clutch Transmission)に並んでいる油圧多板クラッチの重要な部品である。
 内側に突起のある摩擦板と外側に突起のある摩擦板を交互に重ねてカップ状の部品に納める。その内側にもカップ状の部品を入れると油圧多板クラッチになる。この“カップ状の部品”がディスクキャリアである。基本的な形状はカップ状だが、細かく言うと、摩擦板の突起と噛み合ってトルクを伝えるように、細かく歯形形状がつけられている。谷から山まで5mm程度の深さがある。
 この凹凸をつけるためにWEBO社の金型を使う。プレス機械のメーカーである当社が、この金型を日本で販売することになった。
 ディスクキャリアを造るのには、まずコイル材のブランクから深絞りをしてカップ状にする。続いて側面の歯形形状を成形する。従来、日本では歯形形状を成形する方法として2通りが普及していた。一つはしごき成形、もう一つはグローブ成形である。

以下、『日経Automotive Technology』2013年1月号に掲載
図 ディスクキャリアの例
図 ディスクキャリアの例
油圧多板クラッチを構成する大切な部品だ。