円盤状の台座から微妙なカーブを描いた棒が伸びているカラフルな“物体”。これらは試作や金型の作製、量産などを請け負う菊池製作所が開発した、ある福祉用具だ。同社は金属加工の技術を生かし、この福祉用具の商品化を目指している。

 プロトタイプを公開した展示会では、多くの人が集まり実際に装着して使い勝手を試していた。「なるほど。これなら高齢者でも手軽に使えるね」と説明員に声を掛ける人もいた。さて、今回はこの福祉用具の目的を考えてもらいたい。

 ヒントは、棒の形が重要だということ。棒の中心は金属製で、表面をシリコーン樹脂で覆っている。ある程度、弾性変形はするが、人の力で塑性変形させるのは容易ではない。しかも最適な形は、利用者ごとに異なり、その形を造り込むために、同社の金属加工技術が生きているのだ。

 ヒントをもう1つ。カーブを描いた棒の多くは左巻きだが、人によっては右巻きにしなければならない。大きさは手のひらに載る程度。色は重要ではない。

〔以下、日経ものづくり2012年11月号に掲載〕