三菱自動車は8月、排気量1.0Lの小型ハッチバック車「ミラージュ」を発売した。グレード構成は3種類で、アイドリングストップ機構の付いた上位モデル「M」と「G」のJC08モード燃料消費率は27.2km/L。ガソリンエンジンの登録車として最高の数字になる。同機構のない「E」は、23.2km/Lになるが、価格は99万8000円と競合車より安い。

 燃費では日産自動車「マーチ12X/12G」の23.0km/L、マツダ「デミオ13-SKYACTIV」の25.0km/Lを抜いたほか、ホンダ「フィット・ハイブリッド」の26.4km/Lも上回った。
 エンジンは排気量1.0Lの3気筒エンジン「3A90」(図)。「コルト」などに積む4気筒、排気量1.3~1.5L、ボアピッチ83mmの「4A90」エンジンを3気筒にしたもの。同社の軽自動車用の3気筒エンジン「3B」や「3G」はボアピッチが80mmで、排気量を1.0Lまで拡大する余地がある。今回こちらを使わなかったのは、タイ市場、米国市場向けには排気量1.2Lの車種があり、軽用エンジンの拡大では対応できないためだという。なお、3A90のブロックは1.2Lが限界だ。
 エンジンの最高出力は51kW、最大トルクは86N・m。吸気弁の可変機構を遅い側にすると上死点後8度に開き、下死点後80度に閉じる。大幅な“遅閉じ”のアトキンソンエンジンということになる。
 全負荷では通常のバルブタイミングに戻るが、変速機との統合制御をすることによって、遅閉じの領域で運転する時間を長くしている。
 こうした制御をすると、エンジンの回転数をあまり変えず、変速比だけを変えながら加速することが多くなる。これに違和感を覚える運転者も多い。ミラージュでは、アクセルを踏む速度を監視し、速度が速い場合は“運転者が本気で走っている”と判断、燃費を犠牲にしても感覚を優先し、変速比をあまり変えないモードに切り替える。

以下、『日経Automotive Technology』2012年11月号に掲載
図 「3A90」エンジン
図 「3A90」エンジン
軽からの流用もできるが、あえてしなかった。