現場の難問に素早く回答

 「閉館の時間までになんとか終わるだろうか…」。我々スタッフは皆、手に汗を握って見守るしかなかった。

 その日、ものづくり塾では「実践!プラスチックの実用特性と失敗しない設計・成形の進め方」というテーマのセミナーを開催した。プラスチックの強度設計とトラブル対応に関するセミナーで人気講師となった本間精一氏による第2弾のテーマだ。予定の17時に講義は無事終了し、スタッフがほっと胸をなで下ろそうとした次の瞬間、教壇の前にざっと20人の受講者が並んだ。本間氏へ質問するためである。

 反響が大きいことはスタッフにとってありがたい一方で、会場の閉館時間が迫っている。我々は「どうかお1人ずつ手短に…」と平身低頭で受講者にお願いし、後は祈るしかなかった。

 受講者の質問内容は直接講義の内容とは限らない。むしろ、受講者がものづくりの現場で実際に手を焼いている問題の方が多いという印象だった。そうした相談を耳にするや否や、本間先生は「ああ、それなら、この問題が考えられます」と間髪入れずに回答していく。いずれも現場で培った豊富な知見に基づく適切な回答だ。本間氏の素早い応答のおかげで、ギリギリ閉館時間に間に合った。