深く知り尽くした講師だから納得

 「自動車の軽量化で注目されている技術の1つが、スポット溶接と接着剤を併用したスポット・ウェルドボンディングです。スポット溶接時に接着剤が飛び散ると空洞が生じて、さびの原因になります」「鋼板の表面に油があるとしっかりと接着できません。0.3~0.5nmまで分子が近づかないと分子間力が働かないからです」。

 2012年5月21日に開催されたものづくり塾「軽量化、脱鉛はんだ、接着時間短縮、易解体を促進 進化する接着技術と活用法」では、接着剤の活用現場も接着技術も深く知り尽くした若林一民氏ならではの、納得のいく説明が随所で見られた。

 しかも、受講者の興味を引く、接着剤にまつわる話題も豊富。「スカイツリーでも接着と溶接を併用しているんです」「御巣鷹山で墜落した日航機は、スポット溶接だけで接着剤は用いていませんでしたが、今の日航機では接着剤を挟んできれいに溶接しています」など、接着剤の使われ方に精通した話題も…。もちろん、主題となっている接着技術については、200枚弱にも及ぶスライドを掲載した、資料性たっぷりのテキストを使って、丁寧に解説。セミナー終了後は、多くの受講者の個別の質問に熱心に答えてくれた。